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このような事実は低栄養の結果として起こる臨床的検査値にかかわる異常者の年齢階級別の分布状況からも裏付けることができる。ヒトの栄養状態を判定する最も古典的な指標は血清たんぱく質濃度であるが、日本全国から任意抽出した約300地域の全住民総数約17,000人を対象とした平成5年度国民栄養調査によれば、図6から明瞭に見てとれるように、中高年者に血清総たんぱく質の低値者が多く、しかもほぼ年齢が高くなるにともないその割合が多くなっている。同じ国民栄養調査では、鉄栄養を中心とした栄養状態の判定のための資料のひとつとして、血液中のヘモグロビン濃度(血色素値〕も調べてその低値者の分布状況を発表している(図7)。男性については、年齢が高くなるにつれて血色素値の低い貧血ないし貧血傾向者が増加する傾向が明らかであるが、女性については閉経期を境にして一旦貧血傾向者が著明に減少し、その後再び加齢とともに増加を示している。
この図からは、上述したような中高年者の加齢にともなう一般的な栄養状態の低下傾向とともに、女性の鉄栄養生理にとって、更年期が極めて劇的な変動をもたらす特徴的な時期であることが見てとれるのである。

図6 総たんぱく質低値(6.5?r/dl未満)者の割合(性別)

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図7 血色素量低値者の割合(性・年齢階級別)

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(平成5年度国民栄養調査より)

 

 

 

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